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記事: Designer’s Note

Designer’s Note

Designer’s Note

今は、本当にたくさんのブランドがあります。
SNSを開けば、新しいブランドが次々と生まれ、お洋服をつくることは以前よりずっと身近になりました。
それぞれのブランドに、それぞれの想いや、ものづくりがあります。
だからこそ私自身も、改めて考えるようになりました。
「PACHMANだからこそ、お届けできるものは何だろう。」
今日は、そのことについて少しお話ししたいと思います。

 

ブランドが増えた今だからこそ。

お洋服をつくるようになってから、完成した一着だけを見ることが少なくなりました。
どんな生地を選び、どんな方々の手を経て、お客様のもとへ届くのか。
気づけば、そうした背景まで含めて、一着のお洋服として見るようになっていました。
生地は、仕入れた状態でも十分に美しいものです。
でもPACHMANでは、そこからもうひと手間加えます。
素材に合わせて加工を施し、生地が持つ風合いや落ち感、表情を整えながら、仕上げていきます。

一着はたくさんの手から生まれる。

特に白い生地は、とても繊細です。
小さな汚れや異物が混在しやすいため、生地屋さんでも丁寧に検反をしていただいています。
それに加えて、私たちも改めて検反を依頼し、もう一度生地を確認しています。
お客様のお手元へ届く頃には、一枚の生地が二度検反を経ていることになります。
なので、生地を褒めていただくと、より嬉しい気持ちになるんです。
そしてその生地が一着のお洋服になるまでには、さらに多くの手が重ねられています。
生地を織る方。
染色や加工を施してくださる方。
パターンを形に、そして裁断してくれる方。
検反をしてくださる方。
一針一針、縫製をしてくださる方。

ウェディングドレスの職人さんと。

PACHMANでは、それぞれの工程ごとに、「この工程ならこの方にお願いしたい」と思えるプロフェッショナルを私たち自身で選び、一着のお洋服をつくっています。
一つの場所ですべてを完結させるのではなく、それぞれの技術を信頼し、その工程に最もふさわしい方々へお任せする。
そうして多くの技術が重なり合い、一着のお洋服が完成します。
中でも、パターン、トワル、縫製は、私たちが特に大切にしている工程です。
PACHMANでは、この工程を長年ウェディングドレスを仕立ててきた職人の方々とパートナーシップを組み、お洋服づくりを行っています。
一生に一度の特別な一着を手がけてきたからこそ培われた、繊細な技術とクラフトマンシップ。
機械による作業が増えている今でも、人の手でしか生み出せない美しさは、まだまだたくさん残っています。
その積み重ねが、お洋服の着心地や美しさ、そして長く愛用していただける一着へとつながっているのだと思います。

仕立てるということ。

PACHMANでは、「着た瞬間に美しい」と感じていただける一着を目指しています。
ハンガーに掛かっている姿だけではなく、人が袖を通したときに初めて完成する。
そんな洋服でありたいと思っています。
グレーディングも、その考え方は同じです。
「バストを少し広げたい。」
「ウエストだけ少し細くしたい。」
数字だけを見ると小さな調整ですが、その数センチで全体のバランスは大きく変わります。
だから、一人ひとりに合わせてパターンを組み替え、その方だけの裁断指示をつくっています。
そうした積み重ねが、既製服ではなく、一着を仕立てるということなのだと思っています。

この価格で届けたい理由。

正直なところ、ものづくりに関わる仕事を続けるほど、
「どうして、この価格でお届けできているんだろう。」
そう思うことがあります。
生地も、副資材も、工賃も。
ものづくりに関わるほとんどのものが、毎年少しずつ価格を上げています。
それでも、できる限り価格を変えずに続けてきました。
POPUPでは、
「本当にこの価格で大丈夫なんですか。」
そんなふうに声をかけていただくことがあります。
そのたびに、見えないところまで受け取ってくださっているようで、とても嬉しくなります。
価格を見直すという選択肢は、これまで何度もありました。
でも、そのたびに思うのです。
もし「仕立てる」という体験が、限られた人だけのものになってしまうのであれば、それは私たちが届けたいものではありません。
男性がスーツを仕立てるように。
女性にも、自分の身体に合った一着を仕立てる楽しさを、もっと身近に感じていただけたら嬉しい。
その想いは、ブランドを始めた頃から今も変わっていません。

これからも、変わらずに。

私たちが届けたいのは、一生に一度だけ着る特別な洋服ではありません。
人生の節目に。
嬉しい日に。
少し背筋を伸ばしたい日に。
何度でも袖を通したくなる一着。
そして、
「またPACHMANで仕立てたい。」
そう思っていただけるブランドでありたいと思っています。
ありがたいことに、PACHMANには長く通ってくださるお客様がたくさんいらっしゃいます。
完成までの時間も楽しみに待ってくださる。
繊細な生地だからこそ、大切に扱ってくださる。
POPUPへ伺うと、
「また来ました。」
と笑顔で声をかけてくださる方が少しずつ増えてきました。
その時間が、私たちにとって何より嬉しい瞬間です。
たくさんのブランドがある今だからこそ、改めて思います。
PACHMANは、決して派手なブランドではありません。
でも、目には映らない部分を丁寧に積み重ねること。
一着一着に誠実に向き合うこと。
その積み重ねが、PACHMANらしさなのだと思っています。

 

 

文章にすることには慣れていないので、うまく伝えられたか少し不安でもありますが…
それでも、少しでもPACHMANというブランドや、ものづくりへの想いが伝わっていたら嬉しいです。
次回は、PACHMANが生まれる前に立ち上げていたブランドのお話を。
私自身がブランドを立ち上げた頃のこと。
そこからどんな経験を経て、なぜPACHMANというブランドが生まれたのか。
さらに、私たちがなぜ「ビスポーク」という形を選んだ理由について、お話ししたいと思います。
またお時間ある時にでも読んでいただけたら嬉しいです。